子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

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2021.04.02|

子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin滋賀 開催報告

 

2021年3月22日(月)、170人(うちオンライン60人)にご参加いただき「子どもの貧困対策 全国 47 都道府県キャラバンin滋賀」を滋賀県庁新館7階の大会議室で開催しました。
小河光治・あすのば代表理事からの主催者あいさつに続いて、オープニングムービーが流されました。その後、2月27・28日に行った滋賀キャラバンのプレイベントの報告とともに、その場で集約をした若者の声をお伝えしました。

 

 

登壇した若者からは「進学するとき、制服や体操服、通学カバン、定期券を買わなければなりません。3月になると大きなお金が必要になりますが、学校に通うだけでお金がかかります。私の通学定期は7000円で私のバイト代ですべて出しています。その分私の時間が削られます。そもそも部活やコミュニティへ入るにもお金がかかります。部活にかかる費用の負担が少しでも減ってほしいです」、「医療費の自己負担額が住んでいる市や町によって大きな格差があります」、「例えば、大津市では小学生の通院医療費は、医療機関ごとに月に500円の自己負担金を求められます。この500円でも子どもや親にとっては厳しいです。なぜなら小さい子どもほど病院に行く機会が多いからです。大津市の中学生では助成制度はありません」、「高校生になると身体よりも精神面に負担がかかることが多くメンタルクリニックにかかりたいと思っても全額負担では気軽にいけません」、「大津市の給食費は月平均およそ4900円でした。子どもが3人もいれば毎月15000円近くものお金を払わなければなりません」との声が上がりました。

 

 

次に、現場からのリレートークとして最初に特定非営利活動法人わっかの振角大祐さんより「なんでもない日々を重ね続けたい。しかしながらこの活動には資金がずっと足りていないです。行政の方、民間の方ぜひ活動を資金面で支えてください」と語りかけ、スマイル甲賀大原っ子の井村龍三さんは「見た目では子どもたちが貧困かどうかわからないことがわかってきました。親が子どもに対するいじめや偏見を避けるために良い服を着せたり、携帯電話待たせていたりしていても十分な食事をとれていない子どももいます」、社会福祉法人東近江市社会福祉協議会・中西知史さんは「外国籍の子ども非常に多く、相談が増えています。そうした子どもたちは、さまざまな困難を抱えています」、社会福祉法人大津市社会福祉協議会・奥野佑樹さんは「特例の貸付というのが昨年の3月25日から始まり間もなく1年が経とうとしております。貸付の相談は通常の100倍を超えているような状況です」とお話をいただきました。最後に滋賀県教育委員会スクール・ソーシャル・ワーカーの上村文子さんからは「高校の支援もしていますが、義務教育でしんどい思いをした子たちはやはり高校に入ってからも中退したり、大学受験をあきらめたり、進路も狭くなります」と現場で接している実情をお話いただきました。

 

 

全体会の後半は、三日月大造・滋賀県知事、渡邊光春・社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会会長をお迎えし、小河光治・あすのば代表理事と鼎談を行いました。三日月知事は、子どもの貧困対策について「ひたすら繋がりを含めて、『一緒にやりましょう』っていうことなんです。その際に、子どもたちのことは子どもたちの声を聞いて考えなあかんのちゃうか、もっともっと聞いて考えなあかんのちゃうかっていうのが私の基本姿勢です」と話され、渡邊会長は「子どもの貧困問題というのは、自己責任の問題ではなく、考えるべきは公助と共助の問題としての視点が重要ではないかと思います」と話されました。また、小河代表からは「子どもたちのどこかで線を引くっていうことではなくて、すべての子どもたちを大切にするような、そういう子ども若者支援を充実させていく中で、さらにより困難を抱えている、困窮している子どもたちにはよりきめの細かい、手厚い支援が必要です」と提言がありました。

 

 

続いて、意見交換会では、滋賀県が推進する「すまいる・あくしょん」のノートを使用しながら、意見交換会を開催しました。意見交換会でのグループからは「みんな真面目に聞いてくれている姿勢がうれしい。実行してくれたら、もっとうれしい」、「自分が普通だと思っていたことも普通ではないことにあらためて気がついた」、「(大人たちの)気持ちは伝わるけど、具体的にどうするか教えてほしい」といった意見が出され、改めて子ども・若者がセンターに置かれることの大切さを会場内で共有しました。
参加者の方の感想には、「必要性は、みんな理解していて実践もされているが、それでもまだ不足しています。それでも継続し、それをこのキャラバンのように訴えていくしかないかと思います。私たちもせめて、支援に対する偏見がなくなるように自分たちも広く伝え続けようと思います」(40代)、「日本は、子どもの進学・教育に関して自己責任(家庭)にし過ぎている。今の子どもたちに税金を使うことは、私たち(大人)のためでもあるということを、今の大人がもっと理解しなくてはいけない」(40代)などが寄せられました。

 

【子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin滋賀】
日時 2021年3月22日 13:15~16:30
場所 滋賀県庁新館7階大会議室
主催 公益財団法人あすのば
共催 滋賀県・滋賀県社会福祉協議会
後援 内閣府、滋賀県教育委員会、大津市、彦根市、長浜市、近江八幡市、草津市、守山市、栗東市、甲賀市、野洲市、湖南市、高島市、東近江市、米原市、日野町、竜王町、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町、環びわ湖大学・地域コンソーシアム
協力 三方よし!子どもの笑顔プロジェクト実行委員会
助成 公益財団法人キリン福祉財団
参加者数 170人(うちオンライン60人)

★報告書はこちらから(PDF)

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