子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

2020.04.30|

新型コロナウイルスに伴う若者への影響調査

 

公益財団法人あすのばでは、2015年の設立から、一貫して「子どもがセンター(真ん中)」として活動を行ってきました。今回、新型コロナウイルス(COVID-19)流行にともない、4月7日から、子ども・若者委員に登録しているユース世代に対して、生活環境の変化等の調査、ヒアリングを行っています。

4月30日現在の速報値と、若者世代の生の声(一部)を公開させていただきます。

 


【調査から見えてくること】

●あすのばに関わる高校生~学生は、元々が奨学金+アルバイトで生計を立てている者が少なくなく、コロナの影響に関わらず生活が厳しい状態であり、それに加えてアルバイトの減少が顕著に表れており、生活そのものの不透明感が増し、脅かされている実態が明らかになりました。
ユーザーローカル テキストマイニングツール( http://textmining.userlocal.jp/ )による分析でも「コロナ」、「アルバイト」、「奨学金」といった言葉が頻出しており、それらを裏付ける結果となっています。
※4月30日現在の速報値であり、ヒアリング及びその後の継続調査も実施中

 

●学校が始まらない中で、生徒や学生の気持ちを丁寧に聴くことが後手に回っており、子どもや若者の気持ち・想い・声が置き去り状態になってしまっていると考えられます。


【調査概要】
・ヒアリング件数(4月21日現在):38人
・社会属性:高校生6人、大学院・大学生・専門学生21人、社会人11人
・年齢構成:平均年齢20.44歳(未成年者15人、成人23人)
・居住実態:実家16人、単身17人、同居(実家以外、グループホーム等)3人、不明2人
・コロナに伴う収入増減:

全体→あり17人(45%)、なし21人(55%) / 高校生・大学生世代→あり16人(59%)、なし11人(41%)

 


※ユーザーローカル テキストマイニングツール( http://textmining.userlocal.jp/ )による分析


 

若者の声(地方別)

<北海道・東北地方>

 

●専門学校生  19 歳

4月からは専門学校に進学。入学式は挙行されたが、授業は延期に。
コロナの影響はアルバイトに出ている。シフトになかなか入れない。コロナの影響に対する手当は出るとのことだが額はわからない。また、数カ月分が一括で振り込まれるらしい。学費は奨学金でまかなえるが、それ以外の生活費について不安。
どうすればいいのかとお金に関して叫びたい気持ちにかられる。

 

●短大生  18歳

短大に進学予定だったが、学校の所在地でコロナの感染が発生。そのため、学校の入学式は中止、授業は22日以降に延期に。実家に戻っている。もしアルバイトをしていたら、そのままいるつもりだったが、、求人を見つけることができなかった。
今一番不安なのは、お金のこと。4月からの新生活はアルバイトが前提であったことや、奨学金の手続きができていないので、支給が送れる可能性があり心配している。
あすのばには、全国から集まれる場を開いて欲しいと希望。自身もあすのばに関わることで「ここにいてもいいんだ」と思えるようになった。高校のクラスでは、考え方の違いもあり、孤立しがちがった。しかし、あすのばでは、話を聞いてくれた。なので、あすのばに関わることで、各地の学生も自信を持てるようになると思う。

 

 


<関東 地方>

●高校生  17歳

コロナ休みになってからは寝付けないなどのことが発生している。だんだんと生活リズムも崩れてきているので心配。
日々の生活は、学校からの課題をやる毎日だけど、1日でやる量が多いので少ししんどい。学校はオンライン授業はなく、いつ学校に行けるのかが分からない状態。早く学校に行きたい
コロナの影響で受験がどうなるか不安がある。学校がなかなか始まらない中で、勉強を教え合うような機会があるといいなと思っている。

 

●大学生  18歳

3月中旬に引っ越してきた。この間は受験であったが、病気になってはいけない、コロナにかかってはいけないとピリピリしていた。
高校時代はアルバイトをしていたので、東京でも探そうかと思っていたが、求人が減っている。
東京は人が多くて「すごい」、「慣れない」とも話し、身体的な部分での影響は少ないが、環境の変化は感じ取っている模様。

 

●大学生 23歳

授業はGW明けから再開される予定だが、さらに延びるようだったら前期はすべてオンラインでの実施も検討しているらしい。アルバイトはなくなった。卒論も今年は対面での調査ができないかもと伝えられて、どうしようと思っている。
就活はマスコミ関係を目指していて影響は今のところなさそうだが、webに切り替えたり保留になるような話を友人からも聞いていてこれからどうなっていくか分からない。リスケジュールをしたのも、急きょ就活のテストを受けられるセンターが閉鎖されることになって昨日9日のうちに受けなきゃいけなくなった。

 

●大学生  20歳 

4月からの生活を楽しみにしていたが、いつからスタートか分からない状態になった。大学がロックアウトしており、図書館が閉まっているので、書籍購入費が心配。また、今までは先輩から教科書をもらっていたが、それもできないので困る。
 バイトが4/1から決まっていたが、未定となった。携帯電話のGB制限など、各社煩雑であり、まとめてもらえると嬉しいとのことである。

 

●社会人  23歳

新社会人生活がスタートし、慣れない一週間を送っている。会社はコロナでのリモートワーク等は実施しない予定。新卒だど5月まで給与が入ってこないので、定期代を含めて厳しい1ヶ月。新社会人スタートとコロナが重なり、ストレスがたまっている。

 

●社会人 23歳

勤務先となる小学校では、春先に運動会がある予定であったが、秋口に移動、もしくは中止に。心配しているのは学力の格差がこれを機に拡大するのではないか。また、給食がなくなったことで安価に昼食が取れないので、子どもの栄養が心配。

 

●社会人 28歳

職員として関わって開いていた居場所は閉じることになり、緊急事態宣言の期間中はしばらく開けることができないと思う。社会的養護を経験した若者のための居場所だったが、退所者は学校の試験が受けられなかったり仕事を探しているけど見つからなかったりなど大変。収入面と、精神的にも不安定になって大きな影響を受けていることを感じている。支援者としてはzoomで1時間程度顔を見て話す機会をつくったり、預かった食料やマスクを届ける活動をしている。届けるときも公共交通機関は使わず、バイクで居場所の近くにいる人が担当してやってくれている。

 

●社会人 23歳

4月から新卒。週1日出社しそれ以外の日は、在宅勤務。
新卒の友だちなどの話を聞くと、在宅勤務が多い。ただ、何もなく自宅待機となっている人もいる。
先が見えないことに不安を感じている。
今、欲しい支援としては、奨学金返済への支援。返済開始が1年延びてほしい。日々のお金の出ていく分を抑えられると助かる。
新卒の中には、引っ越しに費用が掛かり貯金が少ない人や、実家に帰らされて給料が減少する人もいるので。

 

 


<中部・東海 地方>

●大学生  20歳

大学2年生になり、授業はオンラインで17日~始まる予定。まだどのような形式でやるのかは分からない。ただ教材販売は普通通りにやるようで、アルバイトも少なくなっているなか購入に困るかもしれない。
アルバイトをほかに探したいけど、なかなか求人も少ないと思う。
コロナの影響は不安に感じる。まだ先だけど就活がどうなるんだろうなとか、「日本終わった」ような。自動車学校にコロナの影響が出る前から通い始めているが、通える期間の期限があって不安に思っている。
やっぱり集まりたいなと思う。

 

●大学生  21 歳

5/13にオリエンテーションと延期になった。新一年生と接点がもてないので、新歓に困っている。また6月まではオンライン授業とのことである。6月末までのオンライン授業や授業開始が延期されたことによって夏休みが無くなっため友達ともなかなか会えず学生生活の楽しみがなくなった。
アルバイトは自営業の飲食店で働いているが、今週から休業となり、休業補償も期待できずにつらい。また、就職活動も行っているが、2月下旬までのエントリーも面接が保留となったりしており、本人いわく「カオス状態」であるとのことである。
こうしたヒアリングはありがたいし、あすのばでも今だからできることをしてほしいと思っている。例えば、オンラインでメッセージをおくるなど。

 

●大学生  20 歳

4月から大学3年生。授業の開始はGW明け。コロナの影響はアルバイトに大きく受ける。飲食のアルバイトはパートの人が優先されてしまい、思い通りのシフトに入れない。パートを優先するのは、生活があるためと会社から説明を受ける。仕送りを受けず、生活費はアルバイトで賄っているので、お金がとても心配。そのため、食費を我慢することも。
大学は土曜授業と夏休みを減らして行うたとすでに言われている。ただ、夏休みは教育実習の予定(小学校に3週間)で、実施されるのか不安に思っている。
部活動にも影響が出ている。5月に三重県で開催される大会は他県からの参加が不可に。インカレも中止の可能性がある。

 

●大学生  21歳

塾の閉鎖でバイトがなくなった。ホームセンターのアルバイトをみつけており、ここ2週間は休みなく働いている。接客時はマスクを着けているが、明日からは出勤時に店長から手渡しされるように変更となる。働いているホームセンターでは、マスクの入荷もあるが、閉店時には売り切れとなっており、本人の手には入らない。
大学のスケジュールとしては、5/14からオンラインでスタートするが、8月いっぱいは授業になる予定である。

 

●社会人  22歳

4月から中学校の教員になった。学校にはマスクの備蓄が6000枚ほどあるが、アルコールがなく、石鹸で洗うことになっている。仕事で子どもに接するので、うつしたらとどうしようと不安。
学校が無くなって、家にいることのほうが危ないとも感じている。先輩の教員によると「休校の前と後では、全然様子が違う」とのこと。
教員の立場からはアウトリーチなどはできないので、あすのばのような支援団体に子どもの家庭に行って欲しい。

 

 


<関西 地方>

●社会人  25歳

現在のような人と合わないように気を配る状況下では、あすのばと繋がっていると、居場所感を持ててよかった。
最近の社会は、リーマン後の混乱を想い出す。中途半端な対応はやめたほうがいいと思う。国や行政のちぐはぐさがある。周囲の人にとってもフラストレーションになっていると感じている。ただ、正解は分からない。このようなプロセスに立ち会えることは貴重な体験と捉えている。

 

 


<四国・中国 地方>

●大学生  18 歳

この春から地元の看護系大学に進学。入学式は中止となり、授業も延期となった。4/20~再開の予定。看護の勉強なので遠隔、オンラインでは想定はしていない。県外に進学した友人で授業が延期になって帰ってきた人も多く、これから地元でも感染が広がっていくことも心配している。海外では看護の勉強をしている学生がコロナの医療対応でかり出されることもあって、日本ではまだないが、実習先の予定が指定病院なのでもしかしたらそういうこともあるのかなとのこと。
アルバイトはコロナの影響が出る前にコンビニの採用が決まっていて、人手不足でシフトには入れている。

 

●大学生  18歳 

大学のある地域はまだ感染者の確認ができておらず、授業は普通に始まっている。今後、授業ができるうちに進めるだけ進めるという方針で、GWも授業、夏休みも「なし」と伝えられた。元々GWは実家に帰る予定もなかったので、方針には理解をしている。
アルバイトは焼き肉屋でほぼ毎日働いている。コロナの影響で営業時間が短縮。今は稼ぎたいと思っているので、残念。アルバイトで入学にかかる費用を工面しようとがんばっている。

 

 


<九州・沖縄 地方>

●高校生  16歳

5月6日まで休校になった。急遽予定が変わるので、学校の先生もすごくばたばたしていると思う。授業が進まないから不安な部分はある。
今の進路は進学したいと思っている。あすのばで出会った先輩世代から大学の情報も聴けてとても参考になった。
夏合宿でファシリテーターの人が帰りのバスの中までずっと話を聴いてくれたけど、日頃、相談できる支援者の人はあんまりいない。たまにスクールカウンセラーの人が話を聴いてくれるくらい。

 

●専門学校生 21歳

ストレスとして、学校に行けないことで国試への対応が遅れたり、就職活動が行えなかったり、卒論をチームで進めることができなかったりと、不安なことは多い。授業は土曜日や祝日に振り替えられて行われる予定。
生活面では、アルバイト先がコロナの影響で廃業や休業となり、本日以降の収入面が不安であると話す。心境としては、Twitterに上がっていたように「コロナで死ぬか、社会で死ぬか」だと思う。

あすのばとして、学生や若者に対するコロナ関連の特例給付金があるといい。

 

●専門学校生18歳

コロナは不安というよりも迷惑に感じている。授業はGW明けからの予定になり、学科ごとに行った入学式で仲良くなれそうな友人や良い先生とも出会えたのに・・・。専門学校ではゲームプランナーを目指して仕様書を作成したりする勉強をする。
ちょうどこれから勉強していくためのPCが用意できた。最近はその設定や準備で時間を使っている。アルバイトはこれから始めようと思っていたが、考えていたアルバイト先の責任者が体調を崩してまだ未定。
球技大会も5月から10月に延期、重大行事の出展するイベントも中止になってしまうかもしれない。

 

●大学生 25歳

学童保育のアルバイトは、週に5日いっている。土地柄としては都市部からは離れており、「危機感は低い」と話す。また、現在は「あすのばとしてはできることはないのではないか」とも話し医療チームが行うべきステージだとの認識を示した。

 

 


<参考情報>

子ども・若者委員の登録状況(2020/04/30現在)

 

 

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