子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

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2025.09.19|

開催報告【子どもの貧困対策 四国フォーラム】

9月5日(金)午後、「子どもの貧困対策 四国フォーラム」を徳島県と共催し、徳島県庁11階講堂で開催しました。会場・オンラインをあわせて126人が参加しました。


小河光治・あすのば代表理事の開会あいさつに続いて、共催の徳島県の志田敏郎副知事よりごあいさつをいただきました。

 

さらに、超党派「子どもの貧困対策推進議員連盟」所属の石井智恵衆議院議員に、ご自身がひとり親世帯としてご苦労されたご経験も踏まえてごあいさつをいただきました。

続いて、「あすのば給付金受給者調査 四国在住者集計の発表」を三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の喜多下悠貴主任研究員が行いました。また、本調査の自由記述欄に寄せられた四国在住者から「生の声」を、あすのば子ども・若者委員の其辺胡桃さんと池原みこさんが紹介しました。

基調講演は、こども家庭庁ひとり親家庭等支援室長の伊藤涼子さんに「地域におけるこども・子育て支援を考える」と題し講演いただきました。伊藤さんは、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、「国や行政、自治体など行政だけで『こどもまんなか社会』を実現するということではなく、地域で、みんなで育ちを支援していくということが重要だ」と述べたうえで、困難に直面するこどもの意見反映の推進事業、ひとり親家庭などへのこどもの食支援事業、地域のこどもの生活支援を強化する事業、こどもの生活・学習を支援する事業、こどもの見守り強化事業、こどもの未来応援国民運動など、各地で活用できる国のさまざまな施策や自治体での具体的な取り組み事例について、ていねいに紹介いただきました。

パネルディスカッション「こどもの貧困解消へ地域でどう取り組むか」では、パネラーとして、一般社団法人「うみのこてらす」元理事の山下真也さん、一般社団法人「もも」代表理事の伊澤貴大さん、「シングルマザー交流会松山」代表の野中玲子さん、高知県立大学社会福祉学部教授の田中きよむさんが登壇。

コーディネーターは、鳴門教育大学大学院学校教育研究科准教授の木村直子さんが務めました。

 

山下さんは、「私は、元教員ですが、子どもたち居場所で教育委員会や学校の先生方とたくさん連携させていただいた。地域のご出身の思いのある方や学校を退職されて携ってくださっている。地域のキーとなる方がいて、その信頼がベースにあって、ちょっとずつ積み上げていく。その中で大事だと思ったのは、その連携の中に子どもの声、子どもたちがいるかということ。やはり、子どもたちの真ん中にしていくことが大事」と述べました。

 

伊澤さんは、「民間団体や行政の方々とどう当事者理解の解像度を深め高めていくのが大切だと思う。行政との事例検討会などができておらず、これからの課題だ。子どもたちが何に困っているのか、行政の方々と我々が見えている視点を合わせて、本当に注力すべき点を相互に照らし合わせていく必要がある。子どもたちが困っている内容が経済的なものだけでなく、複合的に絡まっているかと思う」と述べました。

 

野中さんは、「任意団体なので、活動開始当初は行政の担当課に団体のリーフレットなどを持参しても、置いてもらえなかった。信頼を得るためにはどうしたら?と模索する中、県主催の研修会に実践報告団体として呼んでいただいたことをきっかけに、行政の窓口などに団体の入会申込書を置いてもらえるようになった。一方で,行政がしっかり対応してくれるなら、私たちの団体に来る必要はないと思うこともある。それでも、せっかくつながれたのなら、少しでも何かができればという思いで活動を続けている」と話されました。

 

田中さんは、「『連携』という言葉が場合によっては誤解されることがある。行政や県庁、警察などが団体につないだら、それで終わりという『バトンタッチ』のような関係が『連携』だと考えている機関もある。『バトンタッチ』ではなくて伴走型で一緒に支援していく、共に生きる関係作りが重要である。我々のシェルターも出られた後も、別のNPOのメンバーとして個人で支援を続けている方がいる。持続可能な伴走型の支援をしていく姿勢がどの機関にも大事。押し付けることを『連携』と呼ぶのは違う」と述べました。

 

木村直子さんは、最後に「それぞれの県、各市町村,もう少し小さな地域でチームを作っていくというお話があった。いかに強力でかつ柔軟性もあるつながりを確保とした支援ができるような地域のチームをいかに築いていくのかが重要だ。行政と団体の皆様やそれを囲む地域の方々も含め、今後の課題になると思う」と述べました。

 

全体会の最後には、助成いただいている公益財団法人キリン福祉財団 参与・事業部長の大島宏之さんに、ごあいさつをいただきました

 

分科会は、特定非営利活動法人「YOU&ゆう」理事長の岡田あかねさんがコーディネーターを務めました。グループごとに「それぞれの立場だから抱える課題」、「別の立場だから課題へのアドバイス」などをテーマに、全体会のご登壇者も含め、 会場参加の方全員で話し合いました。

行政職員、教員、民間団体、議員、一般市民、大学生など、さまざまな立場からこれまでのご経験なども踏まえた意見交換の場になりました。

 

 


【参加者の感想】

○子どもの居場所づくりのためには学校・行政・民間との連携がすごく大切だと思います。それぞれの強みを生かして、弱みを補え合えるような形が大切です。学校・行政が積極的に関わっていく、連携を進めていこうとする姿勢が強くなるようにあらゆるところからの働きかけを期待しています。(40代・徳島)

○県をまたがる繋がりの場として大きな意味があったと思います。繋がりを途切れさせる事なくアクションし続ける事が大事だと再認識しました。(60代・東京・オンライン参加)

○こどもの貧困対策にいろんな団体がいろんな活動をしていることがわかった。こども、若者の生の声はすごくリアルで心が痛くなった。連携はバトンタッチで終わりではなく、一緒に支援を続けていく事という言葉が心に残りました。今日学ばせていただいたことを日々の支援に活かしていきたいです。(30代・香川)


【子どもの貧困対策 四国フォーラム】
日 時:2025年9月5日 (金) 13時00分~17時00分
場 所:徳島県庁11階講堂 (〒770-8570徳島県徳島市万代町1-1)
主 催:公益財団法人あすのば
共 催:徳島県
後 援:こども家庭庁、香川県、愛媛県、高知県、徳島県教育委員会、徳島県社会福祉協議会
協 力:一般社団法人うみのこてらす、ソーゾーリンク株式会社
助 成:公益財団法人キリン福祉財団
参加者:計126人(うち会場参加者68人・オンライン参加者58人)

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