※当日のアーカイブ動画になります。
1月19日(月)午後、「子どもの貧困対策 東海北陸フォーラム」を中日ホール&カンファレンスBoardroom(名古屋市)で開催しました。会場・オンラインをあわせて129人が参加しました。
小河光治・あすのば代表理事の開会あいさつに続いて、愛知県福祉局長の緒方武俊さんより、愛知県知事からのごあいさつを代読いただきました。
基調講演は、衆議院議員・超党派「子どもの貧困対策推進議員連盟」会長の田村憲久さんより「子どもの貧困『対策推進』から『解消』へ~自治体とともに~」をテーマにご講演いただきました。
田村さんは、議連のこれまでの経緯をご説明された上で、養育費と親子交流の状況、こどもの貧困解消法への変遷、児童扶養手当の年収制限の引き上げ、など議連のさまざまな取り組みや課題をていねいにご紹介いただきました。
田村さんは、「日本のひとり親は、世界で最も働いている。86%が働いているのに5割近くが貧困であることは、根本的に社会の構造がおかしい。これは正規・非正規雇用の問題であり、ひとり親になったときに、正規雇用の所得が得られない課題がある。ここをどう変えていくかが1番の根本課題である」と述べた上で、「本当に感謝したいのは、みなさんが定期的に、厳しい状況にある子どもたちや、そこから立ち直り、生活を自立させてきた子どもたちに会わせてくれること。そうした子どもたちの本当の生の声を、我々に直接聞かせてくれる。政治家にとって、これほどありがたいことはない」と「あすのば子ども・若者委員」の取り組みを高く評価いただきました。
続いて「あすのば6千人調査、東海北陸地区集計結果の発表」を三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の喜多下悠貴主任研究員が行いました。また、あすのば子ども・若者委員の砂川優治さんと堀場睦未さんが、調査の自由記述から東海北陸地区の子ども・若者や保護者の切実な「生の声」を紹介しました。
パネルディスカッション「官民協働ですすめる困窮するこども支援」では、パネラーとして、石川県奥能登高校魅力化推進業務復興探究コーディネーターの木村聡さん、特定非営利活動法人「太陽の家」理事長の対馬あさみさん、社会的養育総合支援センター「一陽」統括所長の橋本達昌さん、特定非営利活動法人「こどもNPO」理事の山田恭平さん、「岐阜キッズな(絆)支援室」代表の若岡ます美さんが登壇。コーディネーターは、特定非営利活動法人「教育研究所」理事長の牟田光生さんが務めました。
木村聡さんは、「震災を経て感じたのは、仮設住宅や避難所を子どもがいる学校や公園を潰して作るのが前提になっている社会だということ。当たり前だと思うけど、別に当たり前じゃない。それで学校の再開が遅れたりもする。また、体育館が避難所になって初めて空調がないことにみんな気づく。子育て家族なら子どもが冬に寒い思いをしていることが分かるが、他の人はそこで初めて気づく。そうした状況にならないと子どもの環境が良くならない事実がある」と話されました。
対馬あさみさんは、「優れた制度や支援メニューがあっても、そこに繋がらず、利用できなければ、存在しないのと同じ。まずは繋がることが大事だ。子どもたちが地域や家庭環境に左右されることなく安心して過ごし、希望を持って未来を描ける社会の実現には、市民活動だけでなく、自治体、専門機関とより強固な連携と継続的な支援の仕組みが不可欠だ」と述べました。
橋本達昌さんは、困難に直面する子どもたちが、早期から地域の中で家庭的な環境を保ちながら暮らし続けることの重要性を指摘し、その実践として、越前市における「官」と「民」と「市民」の連動による地域ネットワークづくりを紹介。関係性をチア・ケア・ディアとし「ケアをする民間事業者とパートナーを組む市民ボランティア組織。その子どもと親御さんを地域のプロとして応援(チア)していく。さらに、官の人は、民間の人にディア(親愛)の気持ちを持ってほしい」と話されました。
山田恭平さんは、「約10年間、活動を1つの地域で行うと、地域のキーマンにつながることがようやく可能になる。同じ地域で、いくつもの団体や事業が重層的に関わることで、地域の子どもたちをより深くみていくことができる。そうした積み重ねで、地域の人たちの子どもへの見方が変わり、子どもたちも『この地域で暮らしていきたい』、『地域に愛着を持つ』と感じられるようになっていく」と述べました。
若岡ます美さんは、「『ぎふ学習支援ネットワーク』と『よりそいネットワークぎふ』をつくった結果、行政と連携・共同委託で支援が充実したことが大きな成果。民間団体だけ、行政機関だけでは限界がある支援がそれぞれの特徴を生かして連携することで、政策が変わり、人や資金も集まり、子どもへの支援が充実していく。今後の課題は、切れ目ない支援で、困った時にいつでも相談できるようつながりを切らないことだ」と話されました。
討論のまとめとして牟田光生さんは、「子どもの声が行政に届かない。生の声を議員、役所の方が聞いて、一緒に考えていくという仕組みが当たり前にできる社会になってもらいたい。今日、登壇されたみんなの思いでもあると思う」と述べました。
全体会の最後には、助成いただいている公益財団法人キリン福祉財団参与・事業部長の大島宏之さんに、ごあいさつをいただきました。
分科会は、中京大学現代社会学部教授の成元哲さんがコーディネーターを務めました。「①子どもの貧困問題を家族だけの問題にしないためにはどうすればいいか、②子どもが安心して過ごせる居場所はどうすればできるか、③食支援(子ども食堂)、④学校との連携、⑤行政との連携、⑥他の団体との連携(横のつながり)など」の12のト ークテーマについて6班に分かれ、パネルディスカッションでご登壇いただいた方々も含め、会場参加者全員で議論しました。行政職員、自治体議員、民間支援団体、一般市民、大学生などさまざまな立場からわかること、考えたことを活発に話し合う意見交換の場になりました。
【参加者の感想】
〇子どもの貧困の現状から、実際に現場に関わる方々の取り組みや声を聞くことができて良かったです。官民連携における課題、地域で子どもを支えていくことの大切さを学ぶことができました。(20代・愛知)
〇「困っているこどもに支援がしっかり届いてほしい。こどもだけではなく、親の支援もしっかりしなくてはいけない。(30代・岐阜)
〇郊外で広域的に活発に活動されている団体があることに驚きました。人口規模が少ない地域ほど子ども子育てに対する支援が厚いと思い込みがありました。子どもの貧困は見えにくいもので、子どもの貧困はどこにでもあるものだということを再認識しました。そして、それを何とかしようとしている人や機関が多くあること、それでもなかなか解消されないもどかしさと自分たちの力不足を痛感しました。(50代・愛知)
〇「こどもが本当にまんなかに考えらえて動いているのか」大人都合でつくられている社会をどう変化させていくか、意識の大切さを感じた。(50代・愛知)
【子どもの貧困対策 東海北陸フォーラム】
日時:2026年1月19日(月)13時30分~17時30分
場所:中日ホール&カンファレンスBoardroom(名古屋市中区栄4-1-1中日ビル6F)
主催:公益財団法人あすのば
後援:こども家庭庁、愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県、福井県、名古屋市、愛知県教育委員会、中日新聞社
協賛:中部日本ビルディング株式会社
助成:公益財団法人キリン福祉財団
参加者:計129人(うち会場参加者90人・オンライン参加者39人)