子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

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2024.04.02|

【あすのば6千人調査】中間報告公開 子どもの貧困 絶望の連鎖が明らかに

 

「あすのば入学・新生活応援給付金」などを受給した全国の生活保護世帯・住民税非課税世帯などの子ども・若者(小学4年生~20代半ば)と保護者6千人調査の中間報告がまとまりました(分析協力:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)。

 

調査結果からは、コロナ禍や物価高騰で一層深刻化する子どもの貧困の実態、学校生活や教育の課題などが判明し、子ども・保護者ともに絶望の連鎖が明らかになりました。

 

昨年末に閣議決定された「こども大綱」には、「こどもの貧困の解消」が明記されました。また、あすのばなどの支援団体は、この通常国会で子どもの貧困対策法の改正を強く要望しています。

 

今回の調査データや「生の声」を子どもの貧困解消に向けた施策の拡充や実効性の高い子どもの貧困対策法の改正へとつなげてほしいと心から願っています。

 

・あすのば生活保護・住民税非課税世帯6千人調査中間報告書(PDF)

・あすのば生活保護・住民税非課税世帯6千人調査中間報告_概要版(PDF)

・アンケートに寄せられた子ども・若者の声(PDF)

・アンケートに寄せられた保護者の声(PDF)

 

 

アンケート調査から見えてきたこと(全体的な傾向)

※詳細は中間報告書をご覧ください


●新型コロナウイルス・物価高騰の影響

① 経済的困窮がより深刻化
・新型コロナウイルス蔓延の影響によって、過半数(53.0%)の家庭で、「失業・休業・転職などで世帯の収入が減った」。また、コロナ前からの仕事の変化として「転職や再就職をした」が34.7%、「ダブルワークが必要になった」が12.7%、「失業したまま」が9.8%であった。
・大学・専門学校生、就業者のうち、コロナ禍の影響で「仕事(バイト)の給料が下がった」がそれぞれ27.3%、28.7%にのぼった。
・物価・光熱費の高騰の影響として、「家計がさらに苦しくなった」が85.4%、衣食住に関する費用(衣類、光熱費、食費)をさらに節約するようになった家庭が70%前後に達する。さらに、「食事を3回とれなくなった」が約2割(19.7%)にも達した。
・この1年で家計が楽になると思うかについて「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」を合わせて93.9%に達した。
該当図表、頁: 図表 46~図表 49 (p42~p44)/図表 104(p82)

 

② 子どもや家庭への悪影響も
・新型コロナウイルスの影響によって、「子どもが不登校や学校を休むことが増えた」が26.0%に達した。また、「子どもの学力が下がった」が21.5%、「家族の人間関係が悪くなった」は10.5%であった。
・物価・光熱費の高騰の影響として、「子どもの教育費をさらに節約するようになった」が23.6%に達した。
・小学生では、コロナ禍による影響として、「学校が休みになり家にいるのがつらかった」が最も高く22.8%に達した。中学生では「学校の成績が下がった」が36.4%、「学校に行くのがイヤになったり、休むことが増えた」が34.1%と高かった。
該当図表、頁:図表 46(p42)/図表 48(p43)/図表 103(p81)

 

●保護者調査
① 深刻かつ長期的な経済的困窮
・今回調査対象となったあすのばの給付金事業の対象家庭における、深刻な経済的困窮の状況が明らかとなった。
・世帯年収は平均178万円で、世帯貯蓄50万円未満の家庭は74.1%にのぼる。生活保護を受給中または過去に受給していた者は15.4%にのぼった。
・2023年10月の世帯収支は74.9%が赤字であった。そのうち約4割(39.4%)が貯金を切り崩し、約2割強(22.3%)が借金をしている。
・回答者の約6割(60.5%)は4年以上の長期にわたり困窮状態にあり、貧困の長期化がうかがわれる。
該当図表、頁:図表 16~図表 17(p10)/図表 25~図表 28 (p30~p31)

 

② 危機的な健康状態・精神状態
・回答者の健康状態・精神状態についても危機的な状況が浮かびあがってきた。
・健康状況を「よくない・あまりよくない」と回答した者が約4割(39.2%)に達する。加えて、明らかに体調不良や明確に症状が出ているときに、医療機関を「ほとんど受診しない・まったく受診しない」者が33.9%にのぼる。その理由として、「医療費負担が大きい」が60.9%、「病院に行く時間がない」が51.4%にのぼった。
・概ね3~4割の保護者が、常に精神的な辛さを抱えている。「絶望的だと感じた」に「いつも」または「たいてい」と回答した者は30.7%に達し、これは内閣府による「令和3年子供の生活状況調査」の同質問の3.8%と比べ大変高くなっている。
・困ったときに頼れる人が「いない」という回答が約4割(41.7%)に達する。
該当図表、頁:図表 30~図表 34 (p33~p35)


③ 経済的理由で子どものさまざまな機会・経験が剥奪されている
・経済的理由により、子どもについて何らかの「諦めた経験」がある者は約9割に達する。
・最も多いのは、「塾・習いごと」で68.6%に達する。学習関係では他にも「模試や資格試験」(15.1%)、「教科書・参考書」(10.7%)となっており、こうした経験などの剥奪の影響が、子どもの「進学や就職」の諦め(21.3%)に帰結すると推察される。
・その他にも、「誕生日のお祝いやクリスマスなどのイベントごと」(46.1%)、「友達との外出」(39.2%)、「海水浴やキャンプなどの体験」(37.0%)など、さまざまな経験、体験が剥奪されている状況が明らかとなった。
該当図表、頁:図表 29(p32)

 

④ 行政への不信と忌避感
・困ったときに頼れる人が「いる」と回答した者のうちでも、「役所など福祉の職員」と回答した者は約1割(10.2%)にとどまった。
・「相談したくても、できるだけ役所に行きたくない」と回答した者は約7割(68.9%。「とてもそう思う・まあそう思う」)。また、「相談や手続きでイヤな思いや屈辱的に感じることがある」が58.7%に達する。
・行政の制度については、「自分たちの現状や要望・ニーズに沿ったものだ」について「あまりそう思わない・まったくそう思わない」の回答割合が83.7%、「生活などが改善される」について同割合は81.5%にも達する。
該当図表、頁:図表 35(p35)/図表 37(p37)/図表 38(p37)


⑤ 困窮した生活をさらに追い詰める「自己責任論」
・困窮の原因が回答者や家族にあると責められた経験が「よくある+ときどきある」と答えた割合は過半数(50.6%)をしめた。生活保護受給、あるいは過去に受給していた家庭に限定すると同割合は60%超に達する。どのような人から責められた経験があるかについては、「自分の親や兄弟・姉妹、親族」が56.1%で、次いで「役場などの職員」が34.0%にのぼった。
・回答者自身が、困窮状況にあることに対して責任があると感じた経験については、「よくある+ときどきある」が87.3%にものぼる。
・こうした自己責任論を向けられる一方で、働いていない保護者のうち、その理由として、「自分の病気・障害」と「家族の介護・介助」を挙げた者は3分の2に達するなど、個人の責任に還元できない苦しさの中にいることがうかがわれる。

 

●子ども・若者調査
① 不安定な「衣・食・住」と厳しい精神状態
・子どもたちの基本的な衣食住の不安定な状態と、こうした基本的環境の剥奪状態を反映してか、精神状態の深刻な状況が明らかとなった。
・朝食を「毎日食べる」小学生は63.4%、中学生は50.5%にとどまる。国立教育政策研究所「令和5年度全国学力・学習状況調査」における、朝食を毎日食べている子どもの割合(小学生83.7%、中学生79.9%)と比べてもかなり低水準である。また、長期休み中の昼食については、「毎日食べる」小学生は73.2%、中学生は54.7%であった。
・入浴について、「毎日」が小学生では69.9%で、「週1~2日、ほとんど入らない」が5.7%にのぼる。中学生では「毎日」が69.6%、「週1~2日、ほとんど入らない」が2.1%であった。
・小学生~高校生の合計で、以下の質問について「よくある、ときどきある」と回答した者の割合は、「何でもないのにイライラする」48.2%、「何となく大声を出したい」39.2%、「学校に行く気がしない」38.7%、「孤独を感じることがある」34.6%、「消えてしまいたい」17.8%。日常的に厳しい精神状態に置かれている子どもの姿が浮かびあがる。
・特に非就業の若者において深刻な健康状態・精神状態がみられる。非就学・非就業の理由として「けがや病気の療養・休養」が27.9%に達するほか、以下の質問について「いつも・たいてい」と回答した者の割合が、「自分は価値のない人間だと感じた」が就業者18.9%に対し非就業者44.2%、「絶望的だと感じた」が就業者16.1%に対し非就業者30.3%と非常に高くなっている。
該当図表、頁:図表 50~図表 52(p45~p46)/図表 89(p68)/図表 117(p92)

 

② 学校を「居場所」にできない子どもの多さ
・学校が「あまり+ぜんぜん」楽しくないとの回答が、小学生で22.8%、中学生で29.4%と3割に迫る。進学先を一定程度選択できる高校生でも、同割合は22.1%に達する。「NHK2022年調査」における中学生9.5%、高校生12.4%と比較しても非常に高い。
・学校の授業の理解度について、「いつも+だいたいわかる」が小学生で37.4%、中学生で16.1%、高校生では35.3%にとどまる。特に中学校において、学校が楽しくなく、授業が分からないという生徒の割合が高くなっている。
・学校をやめたくなるほど悩んだことがある者は、高校生、大学・専門学校生ともに約半数に達する。理由として高校生で最も高いのが「友人や教員とうまくかかわれない」で22.7%、大学・専門学校生で最も高いのが「経済的に余裕がない」で28.6%にのぼる。「勉強についていけない」は高校生で14.2%、大学・専門学校生で11.2%であった。
・困っていることや悩みごとがあるとき、相談できると思う人として、「学校の先生」は小学生で23.6%、中学生で14.5%、高校生で13.6%であった。同質問に対する「内閣府令和3年調査」の中学生の回答(23.4%)と比較しても低水準である。
該当図表、頁:図表 53~図表 57 (p47~48)/図表 88(p67)/図表 96(p74)

 

③ 働いても続く経済的な苦しさと閉塞感
・就業者のうち、仕事が「あまり+まったく充実していない」が32.2%に達する。その理由として、「十分な金額を稼ぐことができない」(65.2%)、「将来が見えない」(50.0%)、「収入が安定していない」(47.8%)、「やりたい仕事ではない」(39.1%)。
・高校生でアルバイト経験がある者は43.8%をしめ、アルバイト代の使途は「自分のおこづかい」78.9%である一方、「授業料や通学費などの学校の費用」34.3%、「家庭の生活費」25.3%、「進学や就職など卒業後の費用」16.6%など、現在や将来の生活に欠かせない費用をアルバイトで賄っている状況が明らかとなった。
・経済的な心配がなければアルバイトの日数を「減らしたい」は54.0%で、アルバイトのために学校の授業や生活に悪い影響が「とても+少しある」が50.2%に達した。同様に大学・専門学校生でも、アルバイト日数を「減らしたい」は64.2%、アルバイトの悪い影響が「とても+少しある」が62.2%にのぼった。
該当図表、頁:図表 106(p84)/図表 71~図表 77(p56~p58)

 

④ 学びたい意欲や機会の剥奪
・小学生の70.7%が、「高校や大学に行きたいと思った人が誰でも行けるしくみ」を求めている。同じように、「教育や進学の費用負担を減らす制度」(中学生72.4%、高校生86.4%、大学・専門学校生89.9%)、「無料学習塾や習いごとなどの費用負担の軽減」(中学生60.7%、高校生49.7%、大学・専門学校生43.7%)など、学習やその継続に関する支援を求める声が明らかとなった。
・お金がなくてしたくても諦めた経験について、塾や習いごとを諦めた経験がある者が小学生~大学・専門学校生でそれぞれ5割弱程度であった。また、高校生や大学・専門学校生では、模試や検定など、将来に直結する経験を諦めた者も約2割に達する(高校生18.5%、大学・専門学校生23.7%)。
・高校生の進路選択の理由について、「家にお金がないと思うから」が19.0%、「早く働く必要があるから」が12.6%に達する。
・他方で、大学・専門学校生で、奨学金や学費免除を受けている者は92%に達し、その中でも給付型奨学金・学費免除の受給者割合が高いことには、教育費負担軽減策の一定の効果をみることができると考えられる。
・奨学金などを受けて「家計にゆとりが生まれる」「アルバイトが軽減され、学業との両立がしやすい」が3割超の一方で、「利用中の奨学金だけでは足りず、アルバイトの負担が大きい」が25.0%、「利用中の奨学金だけでは足りず、仕送りのため保護者の負担が大きい」が10.0%にのぼった。
該当図表、頁:図表 98(p76)/図表 99(p77)/図表 87(p66)/図表 85(p63)/図表 78~図表 80(p59~p60)

 

⑤ 何よりも生活の安定を希求
・小学生による国などの制度への希望のうち、「生活が楽になるしくみ」が最も高く78.0%に達する。同様に中学生以降でも、保護者や家族全体への支援制度として、「生活を安定させるための手当や給付金の拡充」が最も高く9割近くに達する(中学生87.6%、高校生90.8%、大学・専門学校生88.4%)。子どもであっても、家庭生活の経済的安定を希求している状況が浮かびあがった。
該当図表、頁:図表 98(p76)/図表 100(p78)

 

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