子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

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2020.07.16|

「非課税世帯の高校生世代対象 あすのば 緊急支援給付金」申込者の声

「非課税世帯の高校生世代対象 あすのば 緊急支援給付金」申込者の声

緊急支援給付金第二弾の申込者の方の状況を知っていただたきたく、分析の一環として、AIによるテキストマイニングを行いました(*1)。

(使用ツール:AIテキストマイニングbyユーザーローカル https://textmining.userlocal.jp/)

 

(*1データ解析手法)

申込件数7,109件から重複申込を除いた5,850件を抽出し、さらに自由記述欄の通信欄に記載のある1,073件を解析元データとしました。その後、元データの総文字数である50,201文字より、純粋な分析のボトルネックとなる句読点、濁点、記号、メールアドレス、電話番号を除外。さらに「よろしくお願いします」、「宜しくお願いします」といった短文のむすびの言葉は件数が多く、同様に阻害要因となるため一律削除を行いました。残った40,932文字をもとデータとしてAIによるテキストマイニングを実施しました。

 

 

【申込者の声の要約】


要約であり、生の声(実際に届けられた文章、声)ではありません。そのことに留意するべきですが、当財団に届けられた声としてはおおむね相違がありません。

 

・収入が減って学費を捻出するのも厳しくて食事を一食にするなど食費を削って生活しています。
・収入は以前と変化していないのですが、生活費が増加して足りなくなり銀行などから借りて補っています。
・収入が減少しているのですが、休業補償ももらえていないです。
・オンライン授業を受けるためのパソコン、インターネット環境などを整える余裕がありません。
・コロナの影響で失業してしまい生活に困っています。
・兄、姉の仕送りのために家計が苦しい。学校の退学も考えている。

 

 

【分析結果】


頻出する名詞ワードとしては、「コロナ」、「仕事」、「収入」、「生活」、「失業」、「アルバイト」といったキーワードが上位になりました。形容詞・動詞の頻出ワードとして「困る」、「減る」、「苦しい」、「ない」、「厳しい」、「申し訳ない」、「情けない」、「大変」、「減る」、「すみません」といったワードが並び、いずれもポジティブさよりネガティブを想起させるものです。

 

また、今回の申込者は高校世代の子ども・若者が本人としての募集ではありますが、実際の応募は親権者・保護者といった現に養育をしている方からのものが大半であると推察され、頻出したワードからも子ども・若者に対しての苦しい胸の内を吐露していることが明らかになりました。

 

これらのことから、現在の状況(申込期間2020年6月8日~22日)は物心両面から非常に厳しく苦しいものであることが伺えます。

 

 

 

 

 

 

ただし、この分析において使用した母集団は緊急支援給付金の申込にエントリーした申込者の自己申告かつ自由記述によるものを元データとしており、厳密に世帯構成や職業、生活水準をスクリーニングしたものではないことは留意しておかなければなりません。

 

それを差し引いたとしても、当財団に寄せられた「声」をみると、子どもたち、保護者の生活は非常に切迫しているものであり、かつ公的な支援の枠にも当てはまらない方々が多数いることが明らかになってきました。

 

子どもたちは書類上の制度区分で生活をしているのではなく、毎日がリアルで複雑な実態の上で葛藤して生きています。制度はそうした実態のごく一部をカバーしているにすぎず、いまだ子どもたちのウェルビーイングを実現しているとは言えません。

 

 

公益財団法人あすのばでは、より一層の実態に即した公的な救済処置がすべての子どもに行われることを引き続き求めていきたいと考えています。

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